毛鉤は、水生昆虫をそのまま模したイミテーションではなく、そのイメージを日本的美意識によって様式化しもので、美しい色をあしらった幻想的な工芸品です。
毛鉤づくりは機械万能の現在も昔ながらの手細工一本槍の技法によってつくり上げ、100年以上の伝統と歴史を誇っています。
わずか1cm足らずの鉤に、数種類の鳥の羽根を絹糸で巻き、金箔、うるしなどを用い指先でつくり上げる虫に似せた生き物となります。
魚の種類と季節・天候・時刻・水深・水色・水質など自然環境に適合させることが大切で、これを追及して、先人達は不断の努力と創意工夫を重ね、種類500余種つくり上げてきたのであるが、今日でも、なお同種の鉤が愛用されている。
この水生昆虫に似た毛鉤を、水中で動かしてやるとあたかも川虫が泳いでいるかのように見え、魚を欺いてしまうほど生きた虫に見える毛鉤をつくる熟練者になるまでには5年以上要し、ベテランでも1本つくるには10数分もかかります。
昭和62年に、経済産業大臣指定の伝統的工芸品にも指定され、平成19年に、地域団体商標に登録。
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