播州毛鉤
播州毛鉤物語 ギャラリー 伝統工芸士 伝統的工芸品とは 鮎毛バリ事典 ホーム
鮎毛バリ事典

目次 前章 次章
1 ドブ釣り場


 ドブとは深い淵のことである。80センチから4メートルの水深を釣るのがこの釣法である。 毛鉤をオモリで沈め、底に達したら上げるドブつりは、「アユを釣るなら底石を釣れ」という言葉が一番適切な釣法である。 アカが発生する良い石がないと、アユは寄り付かないから、なるべく大きな底石がある場所をポイントとして選ぶ。 淵の形成は通常、流れ落ち込みから落ち込み(淵頭)にはじまる。 最深部は淵の中央部になっており、それから淵尻、ヒラキの浅瀬にかけての傾斜面をカケ上がりという。


A. 落ち込み(淵頭)
 淵の形成のはじまりは、トロ瀬が流れ込んで淵となる場合もあれば、荒瀬が落ち込んで淵となるところもある。 通常、淵頭の両脇または片方に流れ具合で落ち込みの巻きと称する渦が生じる。この巻きも規模が大きく、流れがゆるやかで相当の水深があり、底石によりアカがあれば、日中のドブ釣りには格好の場所である。竿一杯出すよりも手前のカケ上がりがあれば、それ意外のねらい場となる。 早朝はハヤの入れ食いにあっても、これも一つの手段と考えて、早く釣り上げる。そうすると思いもよらない大型のアユが当ってくる。 釣り人が多いときは、人影に追われたアユは流芯を経て、この深場に入りたがるためである。


B. 淵の中心
 ドブ釣りには最も無難なポイント。 底石さえよければ終日釣れる。 早朝は当りが遠くても、日が昇る寸前から当り出す。 早朝は浅瀬の淵尻からサオが立つが、じっと我慢すれば、やがて17センチの中型から大型がヒットする。


C. 淵尻とヒラキ(カケ上がり)
 淵の中心部を過ぎると次第に浅くなり、川底も下流にかけて傾斜をなし、いわゆるカケ上がり上を呈する。淵に出入りするアユの通り道である。 カケ上がりは常に魚の遊び場所であるから、魚の出入りは活発である。 そのため早朝から当り出すので、数をねらうならこれが本命の場所である。
 淵尻から次の瀬にかかると、流れは緩やかになり、地勢も平坦であると、その流れも拡がって行く。このような地勢をヒラキという。 ドブ釣りの夕釣りには絶対の場所。 夕刻ともなると淵にいたアユ、荒瀬にいたアユが一斉に集まってきて一夜を過ごす。 アユならではのハネのすさまじい光景に、一瞬、釣りを忘れてしまう。 ヒラキの夕釣りは、くいが立つと一服するひまさえないから、手返し良くするため、それなりに準備が必要である。
 またヒラキは水温の低い時のねらい場でもある。 近年はダムやエン堤ができたので淵が少なくなった。 そこで、淵以外の釣り場も必要である。トロ場、急流のタルミ、瀬脇、そして瀬でも深く落ち込んだ所などである。



D. エン堤下
 エン堤下は魚がタマるところなので、魚影が濃い。 下手からさおを出すパターンが多いので、やや釣趣にかけるきらいがある。


E. 合流点
 合流点には、必ずたるみも出来れば、ふところもある。 カケ上がりもあれば、巻き返しもある。 変化のある地勢となっているので、アユは突っ込んでくる。 本流や支流の水量状況によってポイントが変わるので、右岸に入るか左岸にするかは、当日判断すべきである。


F. トロ場
 トロとは流れが総体的に緩やかで、一定の水深があり瀬とも淵とも思えない中間的存在である。 水深1メートルは欲しい。そして岩盤が続いたり、大石が散在していれば、ドブ釣りの絶好の好場所。 意外に場荒れしていないことが多い。 1人で静かに釣る釣趣は格別のものがある。 落ちアユでは、大釣りが期待できる場所である。


G. 砂底は避ける
 流れといい、深さといい、ほれぼれするような淵であっても、底が砂地でしかも砂が巻き上げているようなところは、当たるのはハヤばかりである。 こういうところは見かけ倒しの淵という。



目次 前章 次章


このサイトについて
播州釣針協同組合